※本記事の料金・条件は2026年8月時点のものです。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
海外に住むことが決まったとき、日本の携帯電話をどうするか迷ったことはないだろうか。
解約すれば月々の支払いはなくなる。しかし日本の番号を失うと、Amazonや証券口座などのSMS認証で困る可能性がある。かといって、使わない回線に毎月お金を払い続けるのも気が進まない。
結論だけ先に書くと、維持費重視ならpovo2.0、海外からの発信なら楽天モバイル、管理の手間を減らしたいならLINEMO、海外データ重視ならahamoが候補になる。
私は7年以上中国に住んでいるが、この判断を一度間違えている。番号を残そうとして5年間で2万円近く払い、結局番号は消えた。
今回はその失敗を踏まえたうえで、海外在住者が日本の電話番号を維持する方法を整理してみたい。実際に使っているのはLINEMOだけなので、他の3社については公開されている条件をもとに比較する形で書く。
そもそも、なぜ日本の番号が必要なのか
先に前提を確認しておきたい。海外に住んでいても日本の番号が必要になる場面は、主に2つある。
SMS認証で困る場面がある
近年、日本のサービスは電話番号との紐づけを前提に設計されている。Amazonのログイン、証券会社の取引認証、銀行アプリの再設定。どれも日本の番号がないと手続きが進まないことがある。
海外の番号でも登録できるサービスは増えているが、日本のサービスの中には海外の番号ではSMSが届かないものがある。私も中国の番号で登録できずに困ったことが何度かあった。
私が中国からAmazon Primeを使い続けられているのも、日本の番号を持っているからだ。
日本からの電話を受けられない
もう一つが着信だ。
一時期日本に本帰国しようと考えていたとき、賃貸物件の見積もりを不動産屋に依頼したら、日本の不動産会社から直接電話がかかってきた。メールでは得られない情報をもらえたので、番号があってよかったと思っている。
日本の飲食店の予約や、役所・金融機関からの連絡でも、日本の番号を求められることは多い。
「休止サービス」で残すのは、おすすめしない
番号を維持する方法として真っ先に思いつくのが、キャリアの休止・預かりサービスだと思う。私も最初はこれを選んだ。
2019年から2023年まで、auの番号を残すために休止状態にして毎月411円を払っていた。番号さえ残しておけば、いつか日本に帰ったときに使えると思っていた。
しかし休止から5年経つと、自動的に解約になる。それを知ったときには、番号はすでに消えていた。
結局5年間で2万円近く払って、残ったものは何もなかった。
休止サービスは「一時的に日本を離れる人」向けの仕組みで、長期滞在者向けには作られていない。期限があること、そして休止中はSMSも受け取れないこと。この2点を考えると、海外在住者には向いていないと思う。
それなら、月1,000円前後の格安プランをそのまま生かしておくほうが現実的だ。
海外在住者が確認すべき4つの条件
各社を比較する前に、判断軸を決めておきたい。海外に住んでいる人がチェックすべきなのは、次の4点だと思う。
- 契約できるか — 日本国内の住所が記載された本人確認書類が必要になる
- 海外でSMSを受信できるか — 認証コードを受け取れなければ意味がない
- 放置しても維持されるか — 海外から毎月の管理をするのは面倒
- 維持コストはいくらか — 使わない月の固定費
このうち見落とされやすいのが3番目だ。安さだけで選ぶと、後で管理の手間に悩むことになる。
4社の比較
海外在住で日本の番号を維持する目的に絞ると、現実的な候補は次の4つだと思う。
| LINEMO | povo2.0 | 楽天モバイル | ahamo | |
|---|---|---|---|---|
| 最低月額 | 990円(3GB以下) | 0円 | 1,078円(3GBまで) | 2,970円 |
| 海外SMS受信 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
| 海外での事前手続き | 「世界対応ケータイ」加入が必須 | アプリから海外ローミング申請 | 特になし | 特になし |
| 維持のための操作 | 不要 | 180日ルールの管理が必要 | 不要 | 不要 |
| 海外データ | 海外あんしん定額 980円/24時間 | 海外データトッピング購入 | 2GBまで無料 | 国内外合計30GBまで追加料金なし |
| 契約直後の海外利用 | 新規は4か月目末日まで不可 | 可 | 可 | 可 |
4社とも、対応国・地域で国際ローミングを利用できる状態であれば、SMS受信料は基本的に無料である。番号を維持してSMS認証を受け取るという目的だけなら、どれを選んでも用は足りる。
一方で、通常の電話アプリでは海外での着信にも料金が発生する場合がある点は、どのサービスでも共通の注意点だ。
なお、私はLINEMO以外の3社を実際には契約していないため、使用感ではなく公式の料金・利用条件を比較している。
以下、それぞれの特徴を見ていきたい。
LINEMO:何もしなくても維持される安心感
私が実際に使っているのがこれだ。
現行プランは「ベストプラン」で、モバイルデータ通信を使わず3GB以下に収めれば、月額990円で維持できる。特別な管理をしなくても契約が続くのが最大の利点だと思う。
逆に言えば、通信設定を誤って3GBを超えると2,090円に上がる。番号維持が目的なら、モバイルデータ通信をオフにしておくのが安全だ。
注意点は2つある。
1つは、海外で使うには「世界対応ケータイ」という無料オプションへの加入が必須なこと。未加入だと、海外ではSMSの受信すらできない。
もう1つは、新しい電話番号で契約した場合、契約から4か月目の末日まではこのオプションを申し込めないこと。一時帰国のタイミングで新規契約してすぐ海外に戻る人は、しばらく海外でSMSを受け取れない期間ができる。他社からの乗り換え(MNP)ならこの制限はない。
実際に使った感想は海外在住でもLINEMOは使える?2年使った実感にまとめている。料金や申し込み条件はLINEMO公式サイトで確認してほしい。
povo2.0:維持費は最安。ただし管理が必要
基本料0円で番号を持てるのがpovo2.0だ。維持コストだけを見れば、これが最安になる。
ただし「180日ルール」がある。有料トッピングが何も適用されていない状態が180日続かないように管理する必要がある。
カウントが始まるのは、購入したトッピングの有効期限が切れた翌日からだ。つまり365日有効のトッピングを買っておけば、その1年間はカウントされない。また、期間内の従量通話料とSMS送信料の合計が660円を超えている場合も対象外になる。
海外ローミングを利用するにはアプリのチャットから申請が必要とされている。契約すればすぐ海外で使える、というわけではない点は押さえておきたい。
海外にいながら定期的な管理ができる人には、合理的な選択だと思う。詳しい条件はpovo公式サイトを確認してほしい。
楽天モバイル:海外から日本にかけるなら強い
楽天モバイルの特徴は2つある。
1つは、海外でも2GBまで無料でデータ通信ができること。もう1つが、Rakuten Link経由なら海外から日本への発信が無料になることだ。
これはかなり大きい。私は海外で日本の不動産会社からの電話を受け続けて、追加料金だけで6,000円近く請求されたことがある。「海外では着信に出ず、Rakuten Linkで折り返す」という運用ができていれば、あの失敗は防げたかもしれない。
料金は段階制で、3GBまでなら1,078円。使わなければこの金額に収まる。月額料金を支払っている限り、基本的には特別な維持操作は不要だ。
料金プランや対応国は楽天モバイル公式サイトで確認できる。
ahamo:番号維持だけなら割高
ahamoは月2,970円と、この4社の中では明確に高い。番号を維持するだけの目的なら、選ぶ理由は薄いと思う。
ただし、海外91の国・地域で、国内利用分と合わせて月30GBまで追加料金なしでデータ通信が使える。事前の申し込みも不要だ。
一時帰国のたびに定額オプションを申し込んだり、現地でSIMを買い足したりする手間を考えると、頻繁に行き来する人にとっては合理的な選択になりうる。
注意点は、海外での利用開始から15日を超えると最大128kbpsに制限されることだ。長期滞在には向かない。
海外と日本を頻繁に行き来し、毎月ある程度データ通信を使う人向けだと思う。条件はahamo公式サイトで確認してほしい。
目的別に選ぶなら
ここまでを整理すると、こうなると思う。
- とにかく維持費を抑えたい → povo2.0(定期的な管理が前提)
- 海外から日本に電話をかけたい → 楽天モバイル
- 何も管理したくない → LINEMO
- 海外でもデータをよく使う → ahamo
私自身は3番目を選んだ。povo2.0のほうが安いことは分かっているが、海外にいると「有効期限を意識して何かを買う」という管理が面倒に感じる。
一度auの休止で番号を失っているので、何もしなくても維持されるという状態にお金を払っている感覚に近い。
もし今から選び直すなら、povo2.0か楽天モバイルも候補に入れて考えたと思う。特に楽天モバイルは、あの6,000円の失敗を思うと魅力的に見える。
契約は、日本にいるうちに済ませておく
最後に、どのサービスを選ぶ場合でも共通する注意点を書いておきたい。
申し込みには、日本国内の住所が記載された本人確認書類が必要になる。私は一時帰国中に運転免許証で契約した。
海外転出後の契約可否は、現在の住所や書類の状態によって変わるため、一概には言えない。海外に出る予定があるなら、日本にいるうちに契約を済ませておくのが確実だと思う。
支払い方法も同じだ。口座振替を選べるサービスもあるが、書類のやり取りを考えると、海外在住者には本人名義のクレジットカードのほうが現実的だと思う。
また、物理SIMではなくeSIMを選べば、現地のスマホでそのまま設定できる。デュアルSIM対応の端末なら、現地の番号と日本の番号を1台で管理できる。私はこの形で運用していて、かなり快適だ。
まとめ:番号を「切らさない」ことが一番大事
4社を比べてきたが、正直に言うと、どれを選んでも大きく間違うことはないと思う。
SMS認証を受け取るという目的だけなら、4社とも対応国であれば無料で受信できる。差が出るのは維持費と管理の手間、そして海外でのデータや通話の使い方だけだ。
それよりも大事なのは、番号を切らさないことだと思う。私は休止サービスに5年間払い続けて、結局番号を失った。あのときに月1,000円の回線を残しておけば、何の問題もなかった。
もし今、休止や預かりサービスで番号を寝かせているなら、その契約が何年で自動解約になるのかだけは確認してみてほしい。私のように、気づいたときには消えているかもしれない。
まずは自分の使い方を1つだけ書き出してみるといい。「認証だけ」なのか「電話もかける」のか。それが決まれば、選ぶべきサービスは自然と絞られると思う。


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