※料金・無料体験の条件は2026年9月時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。
健康のために散歩を習慣化しようと思っても続かない。そんな経験はないだろうか。
本は毎日読んでいる。時間も無職なので十分にある。それなのに、歩くことだけがどうしても習慣にならなかった。歩いている時間に何も生まれていない気がして、そのぶん家で本を読んでいたほうがいい、と考えてしまう。
そこで、歩きながら本を聴くことにした。
きっかけは、Audible(オーディブル)が3か月無料のキャンペーンをやっていたことだ。通常の無料体験は30日間なので、3か月試せるのは大きかった。同じ時期にKindle Unlimitedも3か月無料で契約している。無料だから始めた、というのが正直なところだ。
無料期間はまだ終わっていない。しかし今のところ、終わったあとも月額1,500円を払って続けてみようと考えている。散歩が続くようになったからだ。
今回は、その3か月で分かったAudibleの向いている使い方と、向いていない使い方を書いてみたい。
なぜ散歩とAudibleを組み合わせたのか
もともとの動機は、読書ではなく散歩のほうにあった。
無職になってから運動不足を自覚して、散歩を習慣にしようとした。しかし「健康のために歩く」だけでは、私の場合は続かなかった。天気が悪い、寒い、寝坊した。やめる理由はいくらでも出てくる。
そこで、散歩に別の目的をくっつけた。買い物のついで、カフェに行くついで、そして本を1章進めるついで。
Audibleを入れてから、散歩の位置づけが変わった。歩きに行くのではなく、「続きを聴きに行く」感覚に近い。
導入前と比べて、サボる日数が明らかに減った。歩くかどうかを意志で決める場面自体が、ほとんどなくなったのだと思う。
Audibleに向いている本、向いていない本
3か月使って一番はっきりしたのは、内容によって差が大きいということだった。
小説・ストーリー仕立ての本が一番合う
結論から書くと、私にとって一番相性がよかったのは小説と、物語形式で書かれた本だ。
散歩中は、信号を渡る。人とすれ違う。店に入る。集中はどうしても途切れる。それでも、話に流れがあるものは数分聞き逃しても戻ってこられる。
朗読者の技術に驚いた
始めてみて一番予想外だったのが、ここだった。
一人の朗読者が、男性も女性も、老人も子どももすべて演じ分ける。声色が変わるので、誰が話しているのかを説明されなくても分かる。聞き取りやすい発声と、話の緩急に合わせたテンポ。
私はこれまで、本を「誰が読むか」を考えたことがなかった。プロの朗読者という職業に意識を向けたのは、Audibleを使ってからが初めてだ。
同じ本でも、朗読者が変われば印象は変わるのだろうと思う。
一度読んだ本の再読にも向く
過去に読んだ本をもう一度聴くという使い方だ。
私は喜多川泰の『運転者』をAudibleで聴き直した。以前に目で読んだ本なので、どのあたりに何が書いてあったかを何となく覚えている。その状態で音声を聴くと、当時読んだページの記憶が呼び起こされる。
同時に、「前に読んだときはここに線を引いたのに、今はまったく引っかからない」という差にも気づく。本が変わったわけではないので、変わったのは自分のほうだ。
目で読み返すときは、線を引いた箇所だけを拾い読みしてしまう。音声は基本的に飛ばせないので、自分が重要だと思っていなかった章も一緒に流れてくる。この「選べなさ」が、再読では利点になる。
図表・手順が中心の実用書は向かない
逆に、数字の比較や図解が中心の実用書は、音声だとほとんど頭に入らなかった。
手順を追う本も同じだ。この手の本は目で読んだほうが速いし、必要なところだけ戻れる。
実際に聴いた3冊
無料体験の期間中に聴いたのは、次の3冊だ。
『運転者』(喜多川泰)
上記に書いた再読の1冊。ストーリー形式なので耳でも追いやすく、以前読んだときとは違う気づきもあった。
『殺し屋の営業術』(野宮有)
今回一番よかった。書名は知っていたが読んでいなかった作品で、正直、目で読む前にAudibleで聴けてよかったと思う。
漫画・アニメのブラックラグーンが好きな人なら、かなり楽しめると思う。文字で追っていたら流していたであろう会話の間や温度が、声だとそのまま伝わってくる。聴くだけなのに、頭の中で描写が広がっていた。
『ブティック』(池井戸潤)
現在進行形で聴いている。池井戸作品はもともと会話の応酬が多いので、朗読との相性がいい。池井戸潤らしい銀行とM&Aの話を、ドラマティックに描いている。
散歩×Audibleの実際の運用
大したことはしていないが、いくつか決めていることがある。
事前にダウンロードしておく。 私は中国に住んでいるので、外で通信が不安定になることがある。家のWi-Fiで落としておけば、電波を気にせず歩ける。中国のネット事情については下記の記事に書いた。
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片耳だけにする。 これは中国に住んでいる人ほど気をつけてほしい。街を走っているのは電動バイクと電気自動車が中心で、そもそもエンジン音がしない。背後から近づかれても気づけない。
そのうえで運転の荒い人も多く、歩道を走る電動バイクも普通にいる。両耳を塞いだ状態で歩くのは、正直に言って危ない。私は必ず片耳を空けている。
倍速は1.2〜1.5倍。 2倍にすると、聴いているというより処理している感覚になり、記憶に残らなかった。
メモは取らない。 気になった箇所はアプリのブックマーク(クリップ)だけ押しておき、家に帰ってから見返す。歩いている最中に考えをまとめようとすると、結局立ち止まることになる。
散歩以外では、シャワー中にも聴いている。体を洗っている間はそもそも画面を見られないので、音声との相性がいい。散歩と合わせると、1日30分から1時間ほどは聴いている計算になる。
正直に書いておくデメリット
いい面ばかりではない。
まず、とにかく時間がかかる。1倍速で10時間を超える作品はざらにあり、1.5倍速にしても6時間以上は残る。1日30分の散歩で聴くとすれば、1冊に12日かかる計算だ。
目で読めば数時間で終わる本に2週間かけることになるので、「読書量を増やしたい」という目的なら期待しないほうがいい。もっとも、聴き終わりたいから歩く、という循環にはなっている。散歩が続いているのは、この長さのおかげでもある。
次に料金だ。月額1,500円は、読書に使う金額としては安くない。私はまだ無料期間中なので実際には払っていないが、月に1冊も聴かない月があれば単純に損になる。3か月あったからこそ、自分に合うかどうかを判断できた面はある。
最後に、これは自分の問題だが、考えごとをする時間は減った。散歩中に頭を空にして歩く時間には、それはそれで価値があった。毎回Audibleを入れるのが正解とは思っていない。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 小説やストーリー形式の本をよく読む人
- 読み返したい本があるのに、目で読み返す気力が湧かない人
- 毎日30分前後、歩く時間や入浴の時間がある人
- 聞き逃しを気にせず、流し聴きできる人
向いていない人
- 短時間で多くの本を消化したい人(目で読むほうが圧倒的に速い)
- 図表・数字が中心の実用書ばかり読む人
- 歩く時間も、耳が空く時間も確保できない人
まとめ:歩く理由と、本を開く理由を一つにする
散歩が続かないのは意志の問題ではなく、歩く理由がないからだと思っている。
だから私は、単独で続かなかった行動に、別の行動をくっつけた。歩く時間と本を聴く時間を一つにまとめたら、どちらも単独でやるより続いた。読書量が格段に増えたわけではない。その代わりに、歩く時間と距離は増えた。
無料期間が終わっても課金しようと思っているのは、Audibleが良いサービスだからというより、これをやめたら散歩もやめてしまう恐怖からだ。
もちろん、これが誰にでも効果的とは思わない。歩きながら本の内容を追えない人もいるはずだ。
ただ、もし気になっている小説が1冊あるなら、それで試してみる価値はあると思う。無料体験の期間があるので、合わなければそのまま普通の散歩に戻ればいい。キャンペーンの内容は時期によって変わるので、今どうなっているかは公式で確認してほしい。
まずは今日の30分だけ、片耳にAudibleを入れて歩いてみてほしい。
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