「あなたは、考えることで行動した気になっています」
ある日、ChatGPTにこう言われた。図星すぎて、返す言葉がなかった。
なんで自分は動けないんだろう、と思ったことはないだろうか。私はこの問いを何年も抱えていた。そして、その答えを一番知らなかったのは自分だった。
無職になって時間ができてから、「ChatGPTに自分を研究してもらう」ということを試してみた。冒頭の一言は、その中で返ってきた分析だ。
今回は、私が実際にやった方法と、そこで見えたものを書いてみたい。
「自分の研究」をAIに頼むという発想
自己分析の本や診断テストは世の中にたくさんある。私もいくつか試したが、どれも「一般論の枠に自分を当てはめる」感覚が抜けなかった。
ChatGPTが違うのは、こちらの言葉や記録をもとに、私だけのデータで分析してくれる点だ。
しかも相手はAIなので、見栄を張る必要がない。人に話すには恥ずかしいことも、そのまま出せる。これが人間相手の相談との一番の違いだと思う。
私が試した3つの方法
方法1: ジャーナルを読ませて傾向を分析してもらう
私は日常的にジャーナル(日記のようなもの)を書いている。その一部をChatGPTに貼り付けて、こう頼んだ。
以下は私が書いた日記です。内容を読んで、
・繰り返し現れている感情や思考のパターン
・私自身が気づいていなさそうな傾向
を分析してください。慰めや褒め言葉は不要です。
自分では「ただの記録」のつもりで書いていた文章から、パターンを指摘されるのは不思議な体験だった。
私の場合、返ってきた分析はこうだった。
「あなたの記述は思考が70%、感情が20%、事実が10%。出来事そのものより、意味づけを大量に書く傾向があります」
冒頭の「考えることで行動した気になっている」という指摘も、このジャーナル分析から出てきたものだ。分析量ばかり増えて、実行量が増えていない。うすうす感じていたことを、数字つきで突きつけられた。
ちなみに何か月も行っていると「火曜日は自己分析が過剰になりやすい」という曜日の傾向まで指摘された。ここまで来ると、もう笑うしかない。
ジャーナルを書く習慣がある人は、これが一番手軽で効果が大きいと思う。書き方については別の記事にまとめている。気になる方は見てほしい。
4年間続けてわかった日記とジャーナリングのやり方|頭の中を書き出す習慣
方法2: 対話形式で質問してもらう
記録がない人でも使えるのがこの方法だ。分析させるのではなく、質問させる。
私のことを深く理解するために、あなたから私に質問してください。
1回に1つずつ、合計10問。私の回答を受けて、次の質問を深めてください。
これをやると、自分が答えに詰まる質問がどれかで、自分の輪郭が見えてくる。
すらすら答えられる質問は、すでに整理できていること。言葉に詰まる質問こそ、まだ向き合えていない部分だった。
また、方法1の分析結果に対して、質問を繰り返して、深堀していくのもおすすめだ。
方法3: メモリーと会話履歴から「私はどんな人間か」を聞く
ChatGPTを使い込んでいる人なら、メモリー機能や過去の会話履歴が溜まっているはずだ。そこでこう聞いてみた。
これまでの会話やメモリーの内容から、
「私はどんな人間か」を第三者に説明するつもりで教えてください。
良い面だけでなく、課題や矛盾も含めてください。
これが一番、思ってもいなかった指摘をされた方法だった。
私が一番驚いたのはこれだ。
「あなたにとって断食は健康法ではなく、不安をコントロールする仕組みです」
私は断食を健康のためにやっているつもりだった。しかしAIの見立ては違った。健康効果よりも「自分で管理できている感覚」を得るための行動だ、と。
言われた瞬間は反発したが、考えるほど否定できなかった。
もう一つ。「あなたの強みは文章ではなく、仕組み化です」とも言われた。
会社員時代の業務改善、ジャーナリング、ブログ運営。全部に「課題を見つける→数値化する→仕組みに落とす→改善を続ける」という同じパターンがあると指摘された。自分では強みだと思ったことすらなかった。
言われてから気づいたが、たしかに私は記事を書くこと自体より、「記事同士をどうつなぐか」を考えている時間の方が楽しかった。文章が好きなのではなく、構造を組むのが好きだったのかもしれない、と思うようになった。
履歴には「自分でも気づいていない関心とパターン」が残っている。使い込んでいる人ほど、この方法は効く。
やってみて見えたもの
動けない原因が、性格ではなく構造だった
一番大きかったのはこれだ。私はずっと「動けないのは自分の意志が弱いからだ」と自分を責めていた。
ChatGPTとのやり取りを重ねる中で、動けないのには具体的なパターンがあることが見えてきた。
私の場合はこうだ。思考が深い分、選択肢を増やす能力が高い。だからこそ捨てられない。そして「結論を出すこと」を「責任の確定」として重く扱いすぎていた。
転職活動で言えば、応募を「入社確定レベルの決断」として扱っていた。だから1件も応募できなかった。
原因が「性格」ではなく「構造」なら、対処のしようがある。この視点の転換だけでも、やった価値があった。
この構造については、別の記事で詳しく分解している。
価値観が言葉になった
「私が大事にしているものは何か」と聞かれても、以前は答えられなかった。
対話を重ねた今は、答えられる。私のコアは「自由・健康・前進」の3つだ。
働かなくても生きられる選択肢を持つこと。資産があっても身体が動かなければ意味がないこと。大きな成功より「昨日より少し進む」こと。
FIREへの関心も、筋トレも、毎日のブログも、バラバラにやっているつもりだった行動が、全部この3つにつながっていた。
価値観が言葉になると、日々の選択に迷いが減る。これは予想していなかった副産物だった。
正直に書いておきたい注意点
いいことばかり書いたが、限界もある。
まず、ChatGPTは基本的に褒めすぎる。何も指定しないと肯定的な分析ばかり返ってくるので、プロンプトに「慰めは不要」「課題や矛盾も含めて」と明記した方がいい。
次に、分析結果を鵜呑みにしないこと。AIの指摘はあくまで「仮説」で、当たっていないこともある。違和感があれば「それは違う気がする」と返せばいい。その対話自体が自己分析になる。
最後に、日記や個人的な内容を貼る以上、個人情報の扱いには自分なりの線引きをしておいた方がいいと思う。実名や他人の情報は伏せて貼るのが無難だ。
こんな人におすすめ
- 内省や自己分析をしたいが、何から始めればいいかわからない人
- 日記やジャーナルが続かなかった人(対話形式なら受け身で始められる)
- 「動けない自分」の理由を知りたい人
逆に、すでに信頼できる相談相手がいる人や、AIに個人的なことを預けるのに抵抗が強い人には合わないかもしれない。
まとめ:AIは答えをくれる存在ではなく、自分を映す鏡だった
ChatGPTに自分を研究してもらうのは、専属の研究者を一人雇うような感覚だと思っていた。
ただ、やり終えて思うのは少し違う。AIは答えをくれる存在ではなく、自分を映す鏡だった。鏡に映ったものを採用するかどうかは、こちらが決めればいい。
もちろんAIの分析が全部正しいわけではない。それでも、自分ひとりで考え込むより、はるかに遠くまで行けると思う。
まずは今夜、方法2の「質問してもらう」を1問だけ試してみてほしい。答えに詰まった質問が、たぶんあなたの入り口だ。

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